よく手紙を書きます。
ハガキや便箋を選ぶのはもちろん、どんな文具を使って書こうかなと考えるのも楽しくて。
いつもは、万年筆。
といっても、安価なプラマン。
ちょっと気合を入れたお手紙は、スタッフの御手洗に借りて、ガラスペン。
私は筆圧が強いので、細心の注意を払って書きます。
夏用の便箋を探しに、文具屋さんに行った時。
ボールペンのコーナーにたくさんの本が並んでいました。
それがこの本。
めちゃめちゃ手描き。
100ページ全てが手描き。
執念を感じるな……と思いながら裏表紙をみると
「定価、本体3兆円+税」
とてもお高い。
ただ、ありがたいことに、1500円+税に値下げしてくれていました。
こりゃ買わない手はない。
向日葵の便箋と真っ青な和紙の便箋と一緒にレジに持っていきました。
この本は、100ページに渡って、著者の山本くんによる文具への愛とこだわりを書き連ねています。
文具が大好きな山本くんのコメントと自筆のイラスト。
それぞれの文具メーカーさんのコメント。
どれをとっても、愛が溢れていて、読みながらニヤニヤしてしまうほどです。
好きなものについて、存分に語ること、そのパワーたるや!
先週、ステラ通信についてのアンケートを実施したところ
「あたたかみが伝わってきて好き」という回答が多く、嬉しく感じていました。
この本ほどはいかないけれど、ステラ通信も「手描きや手作り感」を大事にしています。
あたたかみって、別に手描きだから伝わるとかそういうものでもないと思うんです。
例えば、私がこういったブログを書く時に特に気をつけていることは「優しい気持ちで書く」ということ。
きっと、ステラ通信を作っているスタッフもそれぞれに気をつけているポイントがあると思うんです。
読んで面白くないと成り立たない。
でも、その面白さは何に起因するものだろう。
面白くしようとして、伝えたい事がぼやけちゃうことも多々。
きっと、それぞれに気をつけているポイントがあって、
根底にあるものはそう変わらないんじゃないかなと思います。
こうやって、文字で何かを伝えたり、お電話で何かを伝えたりする中で「伝えることと伝わることの難しさ」についてよく考えます。
伝えたい事と伝わるものの差はどうやっても生まれてしまうから、どうにかしてその差を埋めることに心と時間を傾けます。
山本くんが、文具について語る時、そこに自慢や偉そうな感じは一つもないのです。
山本くんは、自分が人より文具に詳しいことに、もう気づいていると思うけれど、それでも。
好き、だから知りたい、知ったことを「これすごくない?!」という気持ちで伝える。
ここに自慢が入り込む隙がないほど、山本くんは文房具とそこに携わる人たちを尊敬しているのだと思うのです。
始まりは「大きい消しゴムをつかって消しピン(消しゴムを机の上で弾いて落とす遊び)したい」と思い、トンボのHPを調べたことらしい。
好奇心から文房具について調べ始め、調べれば調べるほど、手のひらに収まるサイズにつまった知恵や工夫を知って。
山本くんのお母さんは「本人の好きにまかせていたらこうなった」ということを言います。
子どもがクリスマスもお年玉も「文具屋さんの商品券」をねだり、休みのたびに文具屋に行きたがる。
それを見守れるだろうか。
「サッカーする?友達とどんな話してるの?塾は?中学受験とかどうする?」
何か1つのものにのめり込む時、山本くんみたいにすごいパワーを発揮するはずなのに、なかなかそれを見守るのは難しいな。
ちょっと口出ししたくなっちゃう。
お母さんの見守り力ってすごいなぁ。
漫画家になりたい山本くんが、これからどんな冒険をするのか分からないけれど、好きなものを好きと言いつづける強さがあれば、なんにでもなれるしどこへだって行けるんだろうな、そんな風に思います。
この本と一緒に買った青色の便箋で、人生初のファンレターを書こうと思います。
私も、嬉しいことを嬉しいと素直に言えるようでいたいな。
山本くんにもらったあたたかい気持ちと勇気をもって、冒険に出ないと。
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