今回は福岡県の南東部に位置する豊前(ぶぜん)市へ行ってきました。豊前市は、大分県との県境に位置し、海と山に囲まれた自然豊かな街です。季節を彩る果物や野菜の数々、地元に伝わってきた催事、温泉など自然と文化の恩恵が数多く息づいています。
豊前市の復興を目指して
ここ豊前市では、昭和60年代にゆず栽培が始まりました。最盛期には市内で1万本以上が栽培され、高い人気を誇っていました。一時は価格の低迷や後継者不足などにより、その勢いを失っていましたが、現在では再びその品質の良さに注目が集まり、地域ぐるみでの復興が本格的に進められています。
豊前棚田ゆず
ここ豊前市では1985年頃から山間部を中心にゆずの栽培が進められてきました。山間部の地域では、傾斜のある地でも農業が行えるように、階段状に棚田と言われる農作地が作られています。寒暖の差が激しい条件で育った棚田ゆずは首都圏の製菓工場でも高い評価を得ています。
果肉から皮まで使用
ゆずはミカン科の柑橘類で、主に中国・韓国の一部と日本の広い範囲で栽培されていますが、特に日本での需要が高く、生産も消費も日本が一番多いと言われています。他の柑橘類と違い、ゆずは熟した実も、熟する前の実も同じように利用される珍しい柑橘類です。
また、果肉から皮までほぼ全てを利用でき、捨てる部分はほとんどない果物でもあります。
ゆずの豆知識
ゆずの栄養価は果肉より果皮の方が比較にならないほど高く、特にビタミンCの含有量は柑橘類の中でトップクラスです。その他、ビタミンB1、B2、鉄分、カリウム、カルシウムなども含まれています。
また、輪切りにしたゆずを浴槽に浮かべると、単に香りを楽しめるだけでなく、ゆずの皮にある精油分がお湯に溶け出して体を芯から温めてくれます。お風呂から上がっても湯冷めしにくく、いつまでもぽかぽかと温かく感じるのが特徴です。
“ゆずペースト”ができるまで
豊前棚田ゆずの特徴として、玉が大きく香りが強いことが挙げられます。年間約三十トンの生産量があり、一部を除く大半は加工用素材として出荷されています。平成十七年夏、ゆず関連製品の取り組みの中で「保存性があって、通年フレッシュ感を持った一時加工品」を求める声が出てきました。それが後に圧倒的人気を誇るゆずペーストの製品化に結びついたのです。
丸ごと生絞り!100%天然ゆず
ゆずペーストは、山から獲ってきた新鮮なゆずを丸ごと使った、100%天然ゆずです。このペーストは、皮のほろ苦さを残しながらも甘酸っぱい風味が特徴です。豊前棚田ゆず協議会で試作を重ね、製法を完成させました。現在では地元の婦人グループが作り、“道の駅豊前おこしかけ”限定で販売されています。一つ一つ丁寧に手作りで作られたゆずペーストは、ケーキや菓子類の他、調味材、畜産加工品、乳製品、水産加工品など様々な二次加工品にも使用され、アイデア次第で食の可能性を広げてくれます。近年ではフランスへの輸出も行われ、海外のバイヤーから予想以上の評価を受けています。
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道の駅 豊前おこしかけ
【住所】福岡県豊前市四郎丸1041-4
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