次第にぽかぽかと暖かさを感じる日が増えて、春の気配にわくわく胸が高まる季節。その一方で季節の変わり目である春は、自律神経の変化の影響で肩こりや頭痛、めまいなどに悩まされる季節でもあります。今のうちに生活習慣を見直し、辛い肩こりをケアして楽しい春を迎えましょう。
同じ姿勢を続けたり運動不足が続いたりすると、筋繊維の一本一本に平行して走っている毛細血管がつぶれた状態になります。その結果、血のめぐりが悪くなって疲労物質や発痛物質が溜まり、こりや痛みが発生するのです。
①筋肉の血管が押しつぶされて血流が悪くなる。
②筋肉に酸素が運ばれなくなり、糖がエネルギーを作る過程で、乳酸が発生する。
③筋肉中に溜まった乳酸が神経を刺激し、こりや痛みを起こす。
④こりや痛みによって筋肉の緊張が起こり、血流がさらに悪くなる。
さらに、血のめぐりを悪化させる春特有の事象として、次の3つが上げられます。
原因① 激しい気温差によるもの
春は「三寒四温」といわれるように、一週間・一日の気温差が激しい季節です。ぽかぽかした日もあれば、突然寒い日がやってきたりと、気温に合わせて身体は大忙し!それにより血液の循環が悪くなってしまいます。
そもそも肩は心臓より上の位置にあるため、ただでさえ血液の巡りにくい箇所です。その上、このような状態では肩こりが起こりやすいのも当然です。
また、店頭や雑誌では一月頃から春のファッションが主となり、三月頃からは気温が低い日でも薄着の女性が多くなります。そのため、身体が冷えて血のめぐりが悪くなり、肩こりの症状を感じやすくなるのです。
原因② 花粉症
花粉症は副交感神経が異常に興奮することで、鼻水・涙などがたくさん分泌される反応です。花粉症によるアレルギー反応で副交感神経が優位に立ってしまうと、ストレスに繋がります。身体は花粉をどうにかしようと躍起になることで、今度は交感神経を活発にしようと動き出すのです。その結果、副交感神経と交感神経のバランスが上手く取れず、血管が収縮して自律神経のバランスが崩れ、肩こりに影響するのです。
原因③ 環境の変化
春といえば、卒業、入社、異動、転勤といった環境の変化が多くなる時期。その変化に対応するため身体はストレスを感じ、交感神経が優位の状態になってしまいます。すると、身体は戦闘モードになり、末端まで血液が巡らず、肩こりを感じやすくなるのです。
「肩こり」という言葉は欧米にはありません。日本人、特に女性は昔から肩こりに悩まされてきました。日本人の女性には、なで肩で筋肉量が少なく、肩こりになりやすい体質の人が多いのです。
日本では昔から、歌舞伎の女形を見ても分かるように、猫背でひざを曲げて、顎を少し前に傾け、あまり動かないことが美しいとされてきました。このような姿勢が、肩がこる原因ともいわれています。
こりや痛みをそのまま放っておくと、さらに血流が滞って症状を悪化させてしまいます。首・肩のこりや痛みを解消するためには、筋肉の血流をよくして、筋肉に溜まった発痛物質や疲労物質をきちんと取り除くことが大切です。普段から下記の内容を心がけましょう。
1,薄手のストールやカーディガンで寒さ対策!
肩こりを感じると肩付近だけのケアに集中しがちですが、肩こりは体全体の血のめぐりが悪くなっているために現れる症状の一つです。春は特に気温の変動が激しい季節のため、少しでも寒さを感じたら熱が逃げやすい首にストールを巻いたり、カーディガンを一枚多く羽織ったりすることで冷え対策を心がけましょう。
2,入浴時間を上手く活用して、 身体全体の血行をよくする
40℃未満のお湯に20分ほど入ることで体はリラックスモードになります。さらに温熱効果で血のめぐりがアップするため、肩こりをほぐすのにも効果的です。入浴で血行をよくすることは冷え対策はもちろん、ストレス軽減にも役立ちます。気温が温かくなるにつれ、入浴回数が減ってしまう傾向にありますが、不調を感じやすい季節こそ、身近なお風呂を活用しましょう。
3,自律神経のバランスをとる
夜遅くまでパソコンやスマートフォンなどで遊んでいると、身体はずっと緊張したままの状態です。すると、交感神経が優位になります。交感神経は身体を緊張させるため、筋肉が緩まず肩こりにも繋がるのです。良質な睡眠のために、寝る一時間前にはパソコンやスマートフォンなどを操作するのは控えましょう。
4,首をまっすぐに保つ
頭が前のほうに倒れてくると、それだけで頚椎に負担をかけます。いつも頭をまっすぐに保ち、頚椎が緩やかなカーブを描くように意識しましょう。
5, 30分に一度は姿勢を変える
どんなに良い姿勢でも、同じ姿勢を続けていると、だんだん血行が悪くなってきます。同じ姿勢を続けず、30分に一度は席を立って、肩や首をまわすなどの軽い運動をしましょう。
若い人も肩こりになりますが、年齢が高くなるにつれて肩こりになる人が増えていきます。これは加齢とともに血流が悪くなるだけでなく、長年体を使ってきたことによって、頚椎や椎間板などに変化が起こるためです。中高年の肩こりでよく見られる変形性頚椎症は頚椎の間でクッションの役目をしている椎間板がつぶれて、それに伴って頚椎の骨の端にとげが生じて神経を圧迫するようになって起こります。
よくある肩こりや首のこり・痛みかと思っていたら、しびれが出てきたり、指先を動かしにくくなったり。このような症状は、首の骨の変形によって、神経の根元の部分である神経根や脊髄が圧迫、刺激されて起こります。神経根が圧迫されると、肩から腕にかけてしびれや痛みが走ったり、力が入りにくくなったりします。こりだけでなく、しびれもあるときは、すぐに整形外科を受診しましょう。
また、高血圧や低血圧、貧血の人、もともと自律神経の働きがよくない人などにはしばしば肩こりが見られます。中には、狭心症や肺がんなど、命にかかわる病気が原因で肩こりや痛みが起こることがあります。
日頃から食事や運動などを定期的に行って体力を養い、定期健診を受けて健康管理を心がけることが大切です。
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