あなたは、どのようなときに疲れを感じますか?運動して体を動かした後?デスクワークで集中した後?
実は、運動をして「体が疲れた」と感じても、実際は筋肉や内臓はほとんど疲れていないことが研究でわかっています。
それでは、一体どこが疲れているのでしょうか?
それは、「脳」です。
運動をすることで、呼吸や心拍、体温などを調整している脳の「自律神経」が活発に働くことにより、疲労が生じます。
自律神経が疲れると、眉間のあたりにある眼窩前頭野という場所にシグナルを送り、これ以上運動をさせないように、「体が疲れている」と脳を勘違いさせています。
つまり、疲労感は命を守ろうとする動物共通の防衛本能なのです。
ですが、そもそも自律神経とは一体何なのでしょうか?
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、集中したり緊張したりすると、交感神経が優位になります。
交感神経が高ぶった状態が続くと、自律神経にとても負担がかかります。
これは、頭を使うデスクワークにも同じことが言え、運動も頭や神経を使う作業も、自律神経を疲れさせるという意味で、同じ疲労になります。
自律神経に過度な負担をかけることは、すべて疲労になり、疲労が蓄積されると自律神経がバランスを崩し、不眠症にもつながります。
●老化が激しい自律神経
自律神経は、老化が激しく、若いときのピーク時から60代くらいまでの間に7割も減ってしまいます。
特に女性は、更年期障害になる40代くらいから50代後半くらいまで、自律神経が乱れがちになってしまいます。
自律神経が働く過程で活性酸素が発生して、細胞が酸化しさびてしまいます。
細胞がさびると、自律神経の機能が鈍ります。
その一過性のパワーダウンが「疲労」で、さびきって動かなくなったのが「老化」です。
●疲労解消に必要なのは良質な睡眠
一度老化した自律神経は、ほぼ復活しません。
でも、きちんと睡眠をとって疲れがとれれば、同年代の平均値かその少し上くらいまでは機能が上がります。
日中の疲労を軽くしておけば、睡眠で回復されやすくなります。
しかし、言い換えれば、疲労は軽減できても疲労回復に効くわけではありません。
起こってしまった疲労を解消できるのは、睡眠しかありません。
上質な睡眠のためにできることは、夜の睡眠に向けてリズムを整えることです。
今回は、自律神経を整えるための「睡眠のコツ」をご紹介いたします!
その日の疲れはその日のうちにとることが、疲れをためないための鉄則です。
疲れをためないために、睡眠の質を高めることは非常に大切なこと。
熟睡できる睡眠環境を整えていきましょう。
①寝る前に白湯を飲む
私たちの体は、汗をかかなくても呼吸や皮膚から水分が失われています。
さらに、年齢を重ねるにつれて、喉の渇きを感じにくくなるため、知らぬ間に脱水状態になっていることもあります。
脱水状態を起こすと、血圧や心拍を整える自律神経の負担が増え、疲れを感じやすくなるので、日頃から水分をとることを心掛けましょう。
水分は一度に大量に飲んでも体に吸収されにくいので、コップ半分くらいの量をこまめに飲みましょう。
睡眠前にとる水分は白湯がおすすめです。
胃腸が温まると副交感神経が優位になり、心が落ち着き、眠りにつきやすくなります。
②疲れをとるには、「右向き」で寝るのが正解
疲れを回復させる方法は、良質な睡眠をとることです。
そこで重要なのが、寝る姿勢です。
仰向けで寝るといびきをかきやすくなり、疲れがとれにくくなることがわかっています。
疲れをとるのに適した姿勢は、体の右側を下にした横向きの姿勢です。
横を向くことでいびきを抑えられ、右側を下にすることで胃の消化も助けられ、自律神経の負担が大幅に減り、疲労回復を促すことができます。
③睡眠は「6時間以上」
睡眠不足が日常化すると、疲労がどんどん蓄積されていきます。
睡眠時間は“6時間以上”が目安です。
日中に仕事や運動をしたり、紫外線を浴びると、大量の活性酸素と「疲労因子FF」という物質が発生し、疲労感をもたらします。
疲労因子FFが生じると、それに反応して「疲労回復因子FR」が現れ、疲労因子FFを減らすと同時に、酸化ストレスで傷ついた細胞を修復していきます。
この反応は24時間行われていますが、活発に活動している時間は疲労因子FFが出続けるため、回復が追いつきません。
疲労回復因子FRの働きを促して疲労をとるには、最低でも6時間の睡眠が必要です。
④太陽とともに起きるのが体にベスト
私たちの体には、日が昇ったら起きて活動し、日が沈んだら眠って休息するという「生体リズム」が備わっています。
このリズムに沿って生活することは、自律神経を整えることにも繋がります。
朝は休息と活動が切り替わり、1日の生体リズムがリセットされる時間です。
太陽の光を感じて自然に目覚めるのが体にとって理想的です。
⑤「ぬるめで10分の半身浴」
人は深い眠りに入る際に深部体温を下げて代謝を抑えます。
疲労回復と安眠につながるのは、38~40度の湯に、みぞおちまで浸かる半身浴です。
副交感神経が優位になり、体は眠る準備を整えます。
上昇した体温が床につく頃に下がりはじめ、深い眠りに誘います。
疲れをとるには良質な睡眠が一番ですが、疲労を溜めてしまう前に、普段の暮らしの中でできる対策方法もあります。
次回は、生活の中でできる疲労を溜めないコツについて、ご紹介したいと思います。
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